むし歯のなりやすさ①
2018年09月22日
こんにちは、藤林です。
むし歯になりやすい人、なりにくい人がおられますね。それは遺伝なのでしょうか。確かに歯の質や唾液の質は遺伝するというのもあります。でも実際、兄弟のお子さんでもむし歯の本数やなりやすさが大きく違ったりします。
むし歯のなりやすさは「山火事」に例えるととってもわかりやすいです。お口の中を「山火事」が起こっているものだと例えます。その山に生えている「木」に相当するのが、「歯」です。そして「火」に相当するのが、「むし歯の菌の量または質」などで表されるむし歯のなりやすさです。お口の中の「火」が強いということは、「むし歯になりやすい」状況ということです。お口の中の「火」の勢いや強さは目には見えません。
確かに、むし歯を削って詰める治療は必要ですが、それは燃えてしまった「木」を新しい「木」に植え替えているだけなのです。「火」を消さない限り、苦労して植え替えた「木」はまた「火」が燃え移り、燃え始めてしまいます。それをふせぐためにも、「消化活動」が必要です。それはまだむし歯になっていない部分をむし歯にさせないことと、初期段階のむし歯がひどくならないようにすることです。
お口の中の「火」はどうやって確認するのでしょうか。それは「むし歯菌検査」です。当院で行っているものとしては「唾液検査」があげられます。定期的に検査を行い、今その人のリスクがどういう状態なのかを確認することが大切です。リスク数値を目安にすることで、今にも燃え上がりそうな「火」を事前に消化するための対策がたてられます。
具体的な対策の前に、むし歯はどうやってできるのでしょうか。
お口の中のむし歯菌は歯の表面に残っている砂糖を取り込み、ねばねばした白い歯垢(プラーク)と酸を作り出します。歯の表面は身体のなかで最も硬いエナメル質という組織で覆われています。でも、長時間この酸にさらされると、徐々にエナメル質が溶かされて、そのうち穴を形成します。それがむし歯です。つまりむし歯はむし歯菌の排泄物で生じる病気なのです。
むし歯菌は産まれたばかりの赤ちゃんにはいません。風邪やインフルエンザ、歯周病と同じで、すでに菌を持っている人から移ってしまう感染症です。
ただ、むし歯菌が存在するだけでは「むし歯」という病気は起こらないのです。むし歯菌の存在と、砂糖入りのお菓子を食べる習慣や歯磨きの状況が絡み合って発症します。よって、それらの習慣をコントロールしていけば必ずむし歯という病気を防げます。むし歯菌のレベル(火の強さ)を把握しないといけないということですね。
歯磨きは皆様常々頑張っておられると思います。では頑張って磨いてもどうしてむし歯になってしまうのでしょうか?
答えは「火」を消すためには歯磨きだけでは不足だったこと、あるいはむし歯になりやすいところまではぶらしが当たっていなかったことの原因が考えられます。フッ素は予防法として挙げられますが、フッ素を塗っていればそれでむし歯にならずにすんだでしょうか。
答えは違いますね。仮にむし歯予防に合格点というのがあるちしましょう。それが60点だとしたら、フッ素の効果はわずか10点ほどです。つまり残りの50点は砂糖を控えたり、歯磨きを効率的に行うことによって点数を稼がないといけないのです。