クルクミンについて
2016年04月25日
皆様こんにちは。歯科医師の丸野です。本日はクルクミンについての記事を書かせていただきます。
クルクミンはカレーのスパイスであるウコン(ターメリック)やショウガに含まれている黄色い色素で、ポリフェノールの一種であるクルクミノイドに分類されます。
近年 、慢性炎症に対するポリフェノールの効果が検討されつつあり、抗菌作用、抗炎症作用、抗酸化作用を持つとされるクルクミンに対して各分野で研究がなされています。
例えば近年クルクミンが糖尿病の危険性を低下させる可能性があるという研究が発表されました。
クルクミンには減量と抗炎症作用があり、2型糖尿病の発症を抑えると推測されています。
さらにクルクミンは歯科領域においても特に歯周病に関する基礎および臨床研究が盛んにおこなわれ るようになってきており、その効果に注目が集まっています。
現在のところ in vitro,in vivo の研究 ではクルクミンの効果が実証されつつあるようですが、臨床的有用性については明確となっていません。
今後は歯周治療におけるクルクミンの有用性を明らか にしていくことが望まれます。

フッ素について
2016年04月18日
こんにちは。
歯科医師の新井です。
子どもの時からフッ素を塗っていていれば、虫歯になりにくいと聞くことがあると思いますが、では何歳から歯医者さんに通ってフッ素を塗るのがよいのでしょうか。フッ化物歯面塗布は、個々の歯が萌出するつど、萌出間もない、齲蝕感受性の高い時期をとらえて、何度も重ねて塗布することによって確実な予防効果が得られることがわかっています。
すなわち、乳前歯が萌出する1歳前後という低年齢から定期的に行うことが必要です。
1、2回だけでは効果が低く継続することで効果が得られます。
定期的に継続して塗布を受けたグループでは、齲蝕予防効果が証明されています。
1歳6ヶ月から6ヶ月間隔で3歳まで、本法による歯面塗布を4回確実に受診したグループでは、1度も受けなかったグループと比較して、3歳6ヶ月の時の齲蝕が約半分に減少しました。
また1回塗布における残留フッ素量は小さく、十分安全な量と言えます。
もちろん、歯以外にもせよ異常がある場合、早期発見、早期治療が大切になりますので、子どもの歯が生えてきたら歯医者さんを受診してみてください。

★蓄膿症と歯の関係について★
2016年04月11日
こんにちは、藤林です。今日は蓄膿症と歯の関係についてお話させていただきます。
蓄膿症は、別名、上顎洞炎といいます。誰しも上のあごの中には空洞があります。ちょうど鼻の両側に左右対になってあります。そこを上顎洞といいます。その上顎洞に感染をおこした状態を上顎洞炎といいます。
上顎洞の形や大きさは人によって様々あり、個人差があります。一般的に上顎洞の底は上あごの奥歯の根と近接していて、痛みを感じることがあります。
上顎洞炎の原因は、鼻の炎症が広がったものと、歯の炎症が広がったものにわけられます。
鼻の炎症が広がったものは、花粉症や風邪が長引いた際に、上顎洞炎をおこしてしまうことがあります。耳鼻咽喉科の受診となります。
歯の炎症が広がったものは、主に根の治療をしたが膿んでいる場合、それを放置すると、上顎洞炎をおこしてしまうことがあります。一般的には片側だけに起こることが多いようです。
急性の場合には、歯の痛みに続いて、悪臭の強い鼻汁(膿)や頬の痛み、違和感があらわれます。慢性の場合には、歯の痛みは少ないようです。
原因菌はブドウ球菌、レンサ球菌とよばれる口の中に常に存在する菌が感染の原因となることが多いといわれています。
歯の炎症が広がったものは、耳鼻咽喉科で上顎洞炎の治療のみを行っても、原因の改善にはなりませんので、ここで原因歯となっている根の治療のやり直しを同時に行う必要があります。
まず、抗生物質を飲んでいただき、原因となっている歯の治療をおこないます。場合によっては、抜歯を行うこともあります。
そして上顎洞に膿がたまっている場合は、膿の排出をおこないます。それでも症状が改善しない場合は、蓄膿症の手術(根治手術)が必要になることもあります。
気になる症状がおありの方は、相談して頂くことをおすすめいたします。

8020運動について
2016年04月4日
生涯自分の歯で食べたいと多くの人が望んでいます。8020運動は80歳で20本以上の歯を残し、健康的な生活を維持してもらおうという日本歯科医師会が取り組んでいる活動です。
8020運動を達成することは本人の健康や寿命だけでなく、医療費や介護費用の削減にも貢献します。今回は8020運動を達成するために今からやるべきことをお伝えします。
1.8020達成率
1989年の運動開始当初は8020運動の達成率は7%程度でした。当時の80歳で、残っている歯の本数の平均は4、5本でした。
2005年には、80歳~84歳の8020達成率は21.1%、2011年には38.3%で徐々に伸びてきております。残っている歯の本数も12,3本になってきました。
2.8020運動を達成するために今からやるべき5つのこと
2−1.歯間部の清掃の習慣をつけること
虫歯や歯周病のほとんどは歯と歯の間から始まります。普通の歯ブラシだけでは取り残してしまいやすいので、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことをお勧めします。
2−2.虫歯や歯周病のリスクを知っておくこと
虫歯や歯周病のなりやすさは人それぞれ違います。すぐに虫歯になってしまう人や歯周ポエットが深い人などは、他人と比較してより注意が必要です。
また、病気や年齢によってもリスクは変化します。自分の口の中にどれぐらいのリスクが存在するか理解し、それに対応した予防法を行うことが8020運動を達成するために大切です。
2−3.唾液が出るように心がける
唾液には歯や歯茎を守る多くの成分が含まれています。よく噛んで食べること、よく話すこと、口の周りのトレーニングをすることなどで多くの唾液が出ます。
加齢や薬により唾液の量が少なくなると、急に虫歯が増えます。また、人との接触がなくなると歯磨きや会話がおろそかになり歯が悪くなる方が多くいます。
唾液は歯や歯茎にとってとても重要なものなのです。
2−4.歯科で定期的にメンテナンスをすること
歯医者に痛みや歯の詰め物が取れた時だけに行く方は歯を削る治療が必要となり、歯の寿命が短くしてしまいます。
歯は神経を抜いたり、人工のものを詰めたりすると予後が悪くなりやすいです。そのため歯を削る治療で歯科に行くのではなく、歯を守るためにメンテナンスで通うことが大切なのです。
2−5.かかりつけの歯科衛生士がいること
歯科衛生士は歯石を取ったり、歯の健康指導をしたりする歯を守るための国家資格をもった者です。
歯科衛生士は歯を削ったり、抜いたりすることができませんが、歯を虫歯や歯周病から守ってくれるプロフェッショナルな存在です。
8020運動を達成するためには信頼できる歯科衛生士と出会うことが大切です。

3.残念ながら8020運動を達成できない人がやるべきこと
次の世代にいかす
虫歯や歯周病は口の中の細菌によって起こる病気です。虫歯や歯周病のリスクが高い人は子供や孫に細菌を感染させないようにする責任があります。
また、子や孫に歯のあることの大切さを伝えていただきたいです
残っている歯を大切にする
歯をすべて失っている方はできませんが、残っている歯を大切にしていく必要があります。
現在はインプラント治療などによって残っている歯に負担をかけない治療法が普及しています。少しでも多くの歯を残し、美味しく食べられることによって生活の質が上がります。
4.歯が残ることで得られること
認知症のリスクが減る
噛む能力や効果が低くなると認知症のリスクが高くなるという研究報告があります。また、噛むことは脳の血流量を増加させるという報告もあります。
生活の質の向上につながる
自分の歯で話し、食べ、笑うことができれば楽しい人生が送れます。入れ歯になれば多くの苦労や制約があります。
入れ歯が合わない、硬いものが噛めない、入れ歯が外れるなど入れ歯になって初めて歯の大切さに気づく方も多いのです。
ぜひ、多くの方が8020運動を達成し、元気な老後を過ごせることを祈っています。
