糖尿病と歯周病の関係について
2019年02月13日
こんにちは。歯科医師の新井です。
糖尿病と歯周病の関係についてご存じでしょうか?
一見何の関係もないように見える2つの疾患には、密接な関係があるのです。
歯周病は糖尿病の「第6の合併症」と言われており、糖尿病患者が歯周病を発症するケースが非常に多いことが分かっています。
さらに、最近の研究結果により、歯周病も糖尿病に影響を及ぼすと考えられるようになってきたのです。
糖尿病と歯周病の関係を知り、どちらの疾患も予防するためにはどうしたらよいのか考えてみましょう。
歯周病と糖尿病の関係
歯周病と糖尿病にはどのような関係があるのでしょうか。
糖尿病と歯周病は、まったく別の病気というイメージが強いでしょう。
しかし、以前から歯周病は糖尿病の合併症の1つであると言われてきたのです。
実際に、糖尿病の人が歯周病である確率は、通常の人に比べて約2倍というデータがあります。
また、糖尿病患者は歯周病が重症化しやすい傾向があり、糖尿病の罹患(りかん)期間が長いほど歯周病の罹患(りかん)率が高いことも分かっているのです。
歯周病と糖尿病の関係については、まだはっきりと分かっていません。
しかし、相関関係があることは確かなのです。
歯周病が進行した人ほど、血糖値が悪いと言われています。
そして、その状態が歯周病菌を増やす原因になっているのです。
たとえば、高血糖の状態だと浸透圧の関係で尿が多く出るため、体内の水分が減少して喉や口が渇きやすくなります。
口の中が乾燥すると、歯周病の原因となる菌が繁殖しやすくなるのです。
また、高血糖の人は最近に抵抗する力が弱まっていることで感染症になりやすいという考え方もあるでしょう。
組織を修復する働きが低下するため、糖尿病の人は歯周病の進行が早くなると考えられているのです。
一見まったく関係のなさそうなこの2つの病気。
共通するのは、どちらも「生活習慣病」であるということでしょう。
つまり、糖尿病も歯周病も、生活習慣が原因で発病する可能性が高いのです。
糖尿病を起こしやすくする運動不足やバランスの悪い食生活、精神的ストレスなどの生活習慣は、歯周病を起こしやすくする生活習慣でもあります。
糖尿病患者が歯周病になりやすいことは分かりました。
では、歯周病の人が糖尿病になりやすい理由とはどのようなものなのでしょうか。
歯周病は慢性感染症であり、治療を継続しないと最近の活動を封じることができません。
このような時、人間の体はさまざまなサイトカインを分泌し、細菌やウイルスに対抗しようとするのです。
サイトカインは、血糖値を下げるためのホルモンである「インスリン」の働きを阻害します。
そのため、血糖値はいつもより上昇するのです。
健康な人であれば、すぐにすい臓からインスリンが分泌されるため、血糖値が高くなりすぎることはありません。
しかし、糖尿病の人は血糖コントロールが乱れる大きな原因になってしまうのです。
歯周病が進行して歯を失うことになると、固いものを食べることができなくなります。
普段の食事が柔らかい食べ物中心になるでしょう。
また、よく噛(か)まずに飲み込んでしまうようになります。
このような食生活では、食後に血糖値が急激に上昇することが多いのです。