TCHについて②
2016年12月26日
こんにちは。
歯科医師の新井です。
前回TCHについてお話しさせていただきました。
TCHは何かに集中していたり、ここ一番の緊張が必要な時に行われることがもっとも考えられます。加えて自分では緊張してるつもりのないパソコンや携帯電話の操作も、かなりの頻度で予想され、大きく注目するところです。操作に長時間没頭が、リスク大となります。それが常態化すると、簡単にTCHしてしまう日常習慣が固定化される恐れもあります。
このTCHと夜間のブラキシズム(くいしばり癖)との関係性も注目するところです。TCHが軽減されることによって、夜間のブラキシズムも軽減される可能性も、考えられています。
まずは、日中のTCHに対しての軽減アプローチです!。
日中おこるTCHに対しては、まず自身にその癖があることを自覚すること。そして気づいた時にはやめるようにすることが第一の対処法です。この方法は、そんなに難しい事ではありません。ある程度なら、自己改革可能です。
東京医科歯科大学のグループでは、「リマインダー」という方法を推奨しています。これは、「TCHストップ」の付箋などを部屋の各所に貼っておき、自己認識を習慣化する方法です。しかし、TCHをあまりに意識し過ぎた生活は、快適とは言えません。自己認識がストレスにならない程度が、長続きするとも考えられます。
そこで当診療室では、自己認識とともに、「舌の位置」に着目しています。
口腔内の機能的なバランスをキープするポイントに「舌の正常なポジション」を考えています。舌の筋力が低下し、舌の位置が不適正になっていくことによって、前述の「安静空隙」の消失がおこり、歯が接触する可能性が高まると考えられます。
お口の中で無意識の「力」が加わる習慣は、続けてその疲労から次には、口唇の弛緩を誘発し、口呼吸が助長されていく可能性があります。
これは、睡眠時のブラキシズム(くいしばり習慣)後に、同じく口呼吸に移行することにも通ずると見ています。起床時のお口の乾燥を訴える人に、口腔内の軟組織(頬粘膜や舌表面)でのブラキシズムの跡を認めたり、顎・首周囲の疲労感を感じる方も少なくありません。
よって、たかがTCH癖では済まされない、体へのリスクとして、対応していかなければならないと考えられます。
医院見学
2016年12月19日
こんにちは、藤林です。医院見学をしてきましたので、今回はそのことについて書かせて頂きたいと思います。2016年11月8日に、上本町にある上本町ヒルズ歯科クリニックに見学に行ってきました。永井美也子先生という女性の院長先生の歯科医院です。
すごく腰が低い先生で、見た目もスラッとしていて美しく、びっくりしました。医院の特長として、小児歯科、予防歯科、マタニティ歯科に力を入れてらっしゃいます。先生は特にその三つが好きとおっしゃっていました。マタニティ歯科というのは永井先生の造語だそうです。セミナーなどでフィンランド式むし歯予防やマイナス一歳からの歯育ての考え方を伝えていくことを日々勤しんでらっしゃいます。
今回、セミナーに同行させてもらったので、そのセミナーのシェアをさせて頂きます。
ママは虫歯になりやすいです。つわりによって磨きにくかったり、食生活が不規則になるからです。
また歯周病にもなりやすいです。これは妊娠すると起こりえることで、女性ホルモンを好物にして数を増やす歯周病菌がいるからです。
進行した歯周病が流産や早産や低体児出産の危険性をあげます。
妊娠中期だと、比較的歯の治療が安全に行うことができるので、いちど歯科医院で歯の大掃除をしてもらいましょう。
してもらいたいけど、麻酔やレントゲンやおくすりは大丈夫??麻酔は無痛分娩でも用いる麻酔なので大丈夫です。レントゲンは必要であればレントゲンを撮りますが、念のため防護服を着用し撮影すれば大丈夫です。おくすりは必要最小限になりますので、必ず妊娠していることを申し出てください。
むし歯菌はいつ赤ちゃんに感染するのでしょうか??お腹の中の赤ちゃんにはむし歯菌はいません。感染源はヒトからうつります。うつることはほとんど避けれないですが、うつる時期をなるべく遅らせることが重要です。だから身の回りの大人が、特にお母さんのお口の環境を良くしておく必要があるのです。そこからお子さんのむし歯予防は始まります。
私なりの解釈も少なからず入っていますが、シェアさせて頂きました。
好きなことに忠実に向き合い、実行させていく力がある永井先生が本当に素敵だなぁと思いました。女性がこうして大規模に活躍しているのを知れる機会になりましたし、非常に有意義な医院見学でした!(*^^*)
歯間ブラシが使いにくい原因と対処法
2016年12月12日
歯間ブラシを使うように歯医者で薦められたが歯ぐきの隙間にうまく入らないで、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。歯間ブラシは歯と歯の隙間を磨く清掃用具です。しかし、歯間ブラシは歯ブラシと違い大きさや入れる方向によって全然入らなくなってしまうこともあるのです。無理に入れてしまうと歯茎に傷をつけたり、歯茎が腫れてしまうこともあります。また、間違った使い方で歯間ブラシは折れてしまいます。今回は歯間ブラシが歯茎の隙間に入らない理由と対処法をお伝えします。
歯間ブラシとは
歯間ブラシは歯と歯の隙間を磨く小さい歯ブラシです。歯周病や年齢とともに歯ぐきは下がり、歯と歯の間の隙間は大きくなっていきます。歯ブラシだけでは歯と歯の間の清掃するのが難しいため、歯垢が残り歯周病が悪化してしまいます。歯間ブラシを使うことによって、歯と歯の間の根元の磨き残しを防ぐことができるために、歯周病の方には欠かせない清掃器具です。
歯間ブラシが歯ぐきに入らない原因と対処法
1.歯間ブラシのサイズが大きすぎる
歯間ブラシは歯ぐきの隙間によってサイズを変える必要があります。大きすぎる歯間ブラシでは歯茎の隙間に入らず、無理に入れようとすると歯茎を傷つけてしまうこともあります。歯間ブラシの真ん中にある金属が歯と擦れるようであれば大きすぎるサインです。歯間ブラシの種類はメーカーによっても若干異なりますが、4S、SSS、SS、 M、L、LL、LLLなど多くの種類があります。また、メーカーによっても大きさが異なります。歯ぐきの隙間も場所によって大きさに違いがあります。
対処法
歯間ブラシの大きさの選択はとても重要です。大きすぎても歯ぐきの隙間に入らず、小さすぎても歯垢が取れずに効果が得られません。歯ぐきの場所や歯周病の治療前と後でも歯ぐきが引き締まって大きさが変わります。そのため歯間ブラシのサイズを合わせるには歯医者で担当の歯科衛生士に自分の歯の隙間にあった歯間ブラシを選んでもらうことが大切です。
2.歯間ブラシを入れる方向を間違っている
歯間ブラシは歯と歯の隙間にほぼ直角に入れないときれいに入りません。歯間ブラシを横から入れたり、上から入れたりすると歯や歯ぐきに当たり、最後まで入れることができません。無理に入れてしまうと歯や歯ぐきに傷がついてしまうことがあります。また、歯間ブラシ自体折れてしまいもったいないことになります。
対処法
初めは歯間ブラシの使い方を担当の歯科衛生士に教えてもらいます。前歯は比較的簡単に歯間ブラシを使うことができるのですが、奥歯は慣れるまで時間がかかる方もいます。自宅では鏡を見て、歯間ブラシの方向を確認しながら、使うようにしてください。
3.歯間の隙間が狭すぎる
歯並びが悪くて歯が重なっている方、もともと歯と歯の間の隙間が狭い方は一番小さな歯間ブラシでも入らない場合があります。歯間ブラシは特に歯周病で歯と歯の隙間が広い方におすすめの清掃用具です。無理に歯間ブラシを使うと歯や歯ぐきにダメージが加わります。
対処法
歯と歯の間全てが同じように隙間があるわけではないので、重なったり、歯並びが悪いところはデンタルフロスで歯垢を取るようにしてください。
市来正博
歯の移植について
2016年12月5日
こんにちは。歯科医師の丸野です。今回は歯の移植について説明をさせていただきます。
歯の移植とは、親らずや、生えている位置の異常などの理由で使用されていない歯を、歯を失ったところに移植する方法です。これは、ブリッジのように両隣の歯を削る必要がなく、また義歯よりも違和感が少なく、インプラントとは異なり、自然な歯の機能を生かせるという特徴があります。
一方で、歯周病が進行した状態で抜いたところの骨が失われてしまっている場合には困難な場合もあります。また歯が抜けてから時間がたつと、抜けた部分の骨が回復しますから、改めて骨を大きく削って移植しなければならなかったり、また親知らずの形態が悪いと難しかったり、いろいろな条件によって予後が左右されやすいなどの欠点もあります。
ある研究による生存分析では、推定平均残存年数14.6年、10年生存率は73.6%でした(歯界展望,vol.119 No.4 2012-4,609-633)。
インプラントのそれに比べると多少生存率は低いように思えますが、有効利用できる歯があればそちらをまず利用するという考え方は有効だと思われます。いちき歯科では歯の移植を含めたより良いプランと治療を提供させていただくよう努めて参ります。