親知らずの腫れを繰り返すのはなぜ?口臭・放置リスクと対処法|智歯周囲炎
2015年05月25日
院長の市来です。
「親知らずの周りが腫れて、薬を飲んだら治まった。でも数ヶ月たつとまた腫れる」。そんな経験はありませんか?親知らずの周りが腫れる病気を智歯周囲炎(ちししゅういえん)といいます。一度治まっても、何度もぶり返しやすいのが特徴です。
今回は、親知らずの腫れを繰り返す理由、腫れたときに出やすい口臭、そして放置したときのリスクと治療法についてお伝えします。
※いま腫れて痛くて、家でできる対処法を知りたい方は「親知らずが腫れて痛い…市販薬と早く治す方法を歯科医師が解説【智歯周囲炎】」をご覧ください。
親知らずの腫れを繰り返すのはなぜ?
智歯周囲炎は、腫れや痛みが出ても多くの場合1週間ほどで落ち着いてきます。ただし、これは「治った」のではなく、炎症が一時的におさまっただけのことがほとんどです。原因が残っているので、条件がそろうとまた腫れてきます。
理由1:汚れがたまる「すき間」が残っている
親知らずはまっすぐ生えず、横や斜めを向いていたり、歯ぐきが一部かぶったままになっていたりすることがよくあります。歯と歯ぐきの間にできたすき間には食べかすや細菌がたまりやすく、歯ブラシも届きにくい場所です。このすき間がある限り、細菌はいなくなりません。
理由2:体の抵抗力(免疫力)が落ちたときに悪化する
細菌の量はいつもと同じでも、疲れや寝不足、風邪、ストレスなどで体の抵抗力が下がると、細菌を抑えきれなくなって急に腫れてきます。「忙しい時期になると腫れる」「試験や出張のあとに腫れる」という方が多いのはこのためです。
理由3:かみ合わせで歯ぐきを傷つけている
上の親知らずが、腫れている下の歯ぐきをかんでしまうことがあります。かむたびに歯ぐきが傷ついて炎症が長引き、治りにくくなります。
親知らずが腫れると口臭が出るのはなぜ?
智歯周囲炎になると、口臭が強くなることがあります。炎症が起きている場所には、細菌と戦うために血液がたくさん集まってきます。血液の中の白血球が細菌と戦い、その死がいが膿(うみ)になります。この膿や血液、たまった汚れ(プラーク)がまざって、においの原因になります。
「最近、口のにおいが気になる」「奥のほうから嫌な味がする」という場合は、親知らずの周りに膿がたまっているサインかもしれません。うがいで一時的にやわらいでも、原因の汚れや膿が残っていればにおいは戻ってきます。
繰り返す腫れを放置するとどうなる?
「痛みが引いたから大丈夫」と放っておくと、次のようなことが起こる場合があります。
- 手前の歯が虫歯や歯周病になる:親知らずとの間に汚れがたまり、大切な手前の奥歯(第二大臼歯)まで虫歯になったり、歯を支える骨が溶けたりすることがあります。
- 口が開きにくくなる:腫れがひどくなると、口を開けるための筋肉まで炎症が広がり、口が指1本分ほどしか開かなくなることがあります。
- 炎症があごやのどに広がる:まれに細菌があごの骨やのどの周りに入り込み、顔が大きく腫れたり、熱が出たりして、入院が必要になるような炎症を起こすことがあります。
腫れを繰り返すたびに炎症が広がりやすくなるため、早めに原因を取り除くことが大切です。
歯科医院での治療法
腫れている時期:まずは炎症をおさえる
腫れや痛みが強いときは、歯ぐきのすき間を洗浄して汚れや膿を取り除き、必要に応じて抗菌薬(抗生物質)や痛み止めを処方します。膿がたまっている場合は、膿を出す処置をすることもあります。
落ち着いたら:繰り返さないための治療を考える
腫れを何度も繰り返している場合は、原因になっている親知らずの抜歯をおすすめすることが多いです。抜歯は炎症がおさまってから行うのが基本です。親知らずの向きや神経との位置関係はレントゲンなどで確認し、患者さんと相談しながら決めていきます。
まっすぐ生えていて、上下でしっかりかみ合っている親知らずなど、きちんと歯みがきができる場合は抜かずに様子をみることもあります。
こんな方は早めにご相談ください
- 親知らずの周りが1年に何度も腫れる
- 腫れていなくても、奥のほうから口臭や嫌な味がする
- 口が開きにくい、飲み込むときに痛い
- 顔が腫れてきた、熱がある(この場合はできるだけ早く受診してください)
親知らずの腫れは、くり返すほど治療が大変になることがあります。「また腫れたらそのとき考えよう」ではなく、症状が落ち着いているうちに一度ご相談ください。
この記事の監修者
市来 正博(いちき まさひろ) 歯科医師/医療法人輝笑会 理事長・いちき歯科 院長
岡山大学歯学部卒。専門はインプラント・歯周病予防処置・審美歯科。平成12年いちき歯科開業、平成21年に医療法人輝笑会を設立。日本インプラント学会・日本抗加齢医学会・国際審美学会ほか所属。



