骨が少ないと言われたら?インプラントのための骨造成(GBR)とは
2025年05月29日
骨が少ないと言われたら?インプラントのための骨造成(GBR)とは
「インプラントを入れたいけれど、骨が足りないと言われた…」
「骨が少ないと治療できないの?」
インプラント治療をご希望の方の中には、検査で「骨の高さや厚みが足りません」と言われ、不安になってしまう方もいらっしゃいます。しかしご安心ください。現在では、骨造成(GBR)という治療法を併用することで、多くの方がインプラント治療を受けられるようになっています。
この記事では、骨造成とはどのような処置なのか、どんなときに必要なのか、どんな材料や方法があるのか、費用や治療期間の目安まで詳しく解説していきます。
そもそも「骨が足りない」とはどういう状態?
インプラントは、顎の骨の中に人工歯根(インプラント体)を埋め込む治療です。したがって、十分な骨の高さ(垂直方向)と厚み(水平方向)が必要になります。
しかし以下のような理由で、骨が不足していることは珍しくありません。
- 歯周病で骨が大きく吸収してしまった
- 長年歯を失ったままで骨が痩せてしまった
- 抜歯後の骨が自然に減少した
- 生まれつき骨の量が少ない
このような場合、インプラントがしっかり固定できない・神経や上顎洞に近すぎるなどの理由で、通常の方法では安全に治療できないことがあります。
骨造成(GBR)とは?|骨を再生してインプラントを支える治療
**骨造成(GBR:Guided Bone Regeneration)**とは、足りない骨を再生させるための処置です。人工骨や自家骨(自分の骨)を足りない部分に補い、メンブレンという特殊な膜で覆うことで、骨の再生を促します。
GBRは、日本語では「骨誘導再生法」とも呼ばれています。
骨造成はどんなときに行われるの?
以下のような症例で骨造成が必要になることがあります。
● 骨の高さが足りない
特に下顎では神経までの距離が短い場合、インプラントの長さを確保するために、垂直的に骨を増やす処置が必要です。
● 骨の幅(厚み)が薄い
上あごや前歯部分では、骨の幅が不足しているケースが多く、水平方向に広げる骨造成が行われます。
● 上顎洞に近い場合(サイナスリフトとの併用)
上顎奥歯部分では、上顎洞(空洞)が近くにあるため、骨が足りないケースが非常に多いです。この場合は、**サイナスリフト(上顎洞挙上術)**という処置と併用して骨造成を行うこともあります。
骨造成の流れと治療期間
骨造成は、インプラント埋入手術と同時に行う場合と、事前に単独で行ってからインプラントを埋める2回法があります。
■ 同時手術(インプラントと骨造成を一度に行う)
- 骨不足が軽度のケース
- 治療期間が短く済むメリットあり
- 骨の再生が不十分だった場合、再治療の可能性もあり
■ 2回法(骨造成→数ヶ月後にインプラント)
- 骨不足が中〜重度のケース
- 確実に骨を再生させたうえでインプラント治療が可能
- 治療期間は長め(骨造成から4〜6ヶ月後に本治療)
骨造成に使われる材料と安全性
骨造成では、以下のような材料が使用されます。
● 自家骨(自分の骨)
- 安全性が高く、骨とのなじみも良い
- 腰や顎などから採取する必要があり、負担がやや大きい
● 人工骨(バイオマテリアル)
- 牛骨由来や合成骨などが主流
- 骨の足場として再生を促す役割
- 多くの症例で使用され、安全性・実績ともに高い
当院では、症例に応じて最適な材料と方法を選択し、治療のリスクや選択肢について丁寧に説明しています。
骨造成にかかる費用の目安は?
骨造成は、保険適用外の自由診療であるため、医院によって費用に差があります。
目安としては以下のとおりです。
- 軽度の骨造成(インプラントと同時)…約3〜5万円
- 中〜重度の骨造成(単独処置)…約5〜15万円
※使用する材料や骨の量、処置の範囲によって費用は変動します。
まとめ:骨が少なくても、治療の選択肢はあります
「骨が足りない=インプラントができない」とあきらめる必要はありません。
骨造成(GBR)という再生技術を活用することで、これまで治療が難しかった方にもインプラント治療の道が開かれています。
当院では、CT撮影による正確な診断と、症例ごとのオーダーメイドな治療計画のご提案を行っています。
他院で断られた方や、不安のある方も、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
記事監修者:市来 正博
医療法人 輝笑会 いちき歯科 理事長
経歴:国立岡山大学歯学部卒
【修了コース】
- ストローマンインプラントコース認定(1998年)
- カルシテックインプラントコース認定(2000年)
- 中国第四軍医大学 インプラントコース修了・プレゼン表彰(2007年)
- 韓国キョンヒ大学 インプラントコース(2008年)
- O.A.Mインプラントコース修了認定(2010年)
- インプラントアドバンスコース講師(2007/2009/2010/2011)
【所属団体】
- 日本インプラント学会
- 日本抗加齢医学会
【勉強会】
- SGIC(Study Group of Implant Consensus)
- 国際審美学会
- ITIメンバー
【お問い合わせ】
電話:06-6355-2073
お問い合わせフォーム:https://www.ichikishika.com/contact/
※インプラントや矯正治療については無料相談(30分)・有料相談(30〜60分、レントゲン撮影など資料をもとに詳しい説明可能※3000〜5000円程度)を受付けております。